肥厚爪・変形爪
爪が分厚くなった状態のことです。爪の上方に重なって厚くなる「厚硬爪甲(こうこうそうこう)」と、爪の下に角質が増殖して厚くなる「爪甲下角質増殖(そうこうかかくしつぞうしょく)」があります。
厚硬爪甲
爪全体が上に厚く硬くなる状態。放置すると湾曲したり突出したりすることもあります。爪の色が変色し、表面も凸凹になってきます。
爪甲下角質増殖
爪の下に角質が増殖することで、爪床(そうしょう)から押し上げられるとともに、押し上げられた爪が厚くなっていきます。
主な原因
①加齢
老化とともに爪は水分を奪われ乾燥し、弾力性を失い、厚く固くなっていきます。70代や80代など高齢者に多いのが特徴です。保湿を行って頂きます。
②靴が合わない
足の形に合っていない、もしくはサイズの合わない靴を履き続けることにより起こります。
ハイヒールなどの窮屈な靴を履いている女性に多く、靴の圧迫により爪が押されながらも伸びようとし、厚く固くなっていきます。爪先への物理的な負担続くことが原因なので、妊娠による体重増加も原因となりえます。インソールを工夫するなどの対処が必要です。
③深爪
深爪の習慣があると指先のやわらかい部分(肉)が地面から受ける圧力によって徐々に盛り上がり、爪の前に肉の壁が出来る事があります。その壁に爪の成長が妨害されて、爪の下に新たな爪が生まれ、層状に爪が厚くなることがあります。爪の切り方・手入れの仕方をご指導します。
④外傷
爪や爪の根元付近に物を落とすなどの強い衝撃を受けたことで、後々、肥厚爪になる場合があります。
⑤爪白癬
白癬菌という水虫と同じ菌が爪の中で増殖する疾患です。痛みも痒みもない事が多く、気付いた時には症状が進行している場合があります。
また、爪白癬も水虫同様に感染性の疾患なので、家族など周りの人にうつしてしまいますので、早期治療が必要です
⑥爪のケア不足
保湿がとても重要です。水分含有量を高めることで弾力が生まれ、健やかに伸びるサポートができます。爪と皮膚の間には、角質(老廃物)が溜まりやすく、清潔にしていないことで、爪白癬を招くことにもつながるため、足浴と保湿をしっかりと行ってください。
⑦末梢血流循環不全によるもの
高齢の方でどこにも足の指をぶつけてない、靴もきつくない場合は、こういった病因も考慮します。下肢静脈瘤を合併することもあります。足のマッサージや弾性包帯、靴下などで対処します。
⑧全身性疾患によるもの
貧血・甲状腺疾患・乾癬など。各々の疾患に対する治療を行います。
巻き爪
爪の端が内側に巻き込んだ状態のことです。巻き爪は、爪の下や周りの皮膚を傷つけやすいため、細菌感染も重なって起こすことが多いです。
主な原因
- ① 間違った爪切りで最も多いのは深爪です。
深爪の状態で足の指に力が加わると、爪の先の皮膚が力を受けて盛り上がります。
その結果、爪は真っ直ぐに伸びることができずに厚みが増し、両端が巻いてきます。
また、爪の両端を切り残してしまった場合には、その爪がとげのように皮膚に突き刺さり、痛みや炎症を引き起こす陥入爪の原因になることもあります。 - ② 爪への過剰な力は、外反母趾や足に合わない靴、膝が内側に入って歩く癖などで引き起こされます。歩行時、地面からの力が親指に加わるだけでなく、他の指によって押されるなど、足の指に過剰な力が加わるため、親指の爪が真っ直ぐ伸びることができず、巻き爪になります。
- ③ 指に力がかからない状態とは、足の指に力を入れずにペタペタと歩く癖や、寝たきりの人など、親指に体重がかからない状態が長く続くことです。
本来、爪は丸まっていく性質があります。通常は歩行時に地面からの力が加わることで爪は平らになりますが、力が加わらない状態が続くと巻き爪になります。
当院の巻き爪の基本的な治療方針
- ① 高度な爪白癬や糖尿病など基礎疾患のある方は、原則、基礎疾患の治療を優先して開始します。
- ② 化膿・炎症を伴う巻き爪や陥入爪の方は、個々の状態に応じて、抗生剤の内服・外用など保険治療を優先して行います。
- ③ 症状が軽度な方は、正しいフットケアをご指導し、ご自身で症状を改善・予防して頂きます。
症状に応じて以下の項目をお教えしています。
- ・爪の切り方、手入れの仕方、テーピング指導
- ・靴下の選び方(ケアソクなど)、靴の選び方(靴屋のご紹介)
- ・外反母趾の予防法、歩き方のご指導